前立腺炎について・・・平成17年7月12日 産経新聞より

男性の半数近く経験<適切な治療で思いがけない効果>

前立腺は、膀胱の出口にあって尿道を取り囲んでいる男性だけにある臓器です。前立腺の病気のうち前立腺肥大症や前立腺がんは一般に知られるようになってきましたが、前立腺炎についてはご存じない方も多いでしょう。しかし、男性の半数近くが一生に一度は前立腺炎による症状を経験するといわれ、実は非常にポピュラーな病気です。にもかかわらず、相談しにくいという理由から診察を受けずに我慢しているかたや、治療を受けてもなかなか治らないために途中で中断してしまうケースも多いようです。前立腺炎は治りにくい病気とおもわれていますが、適切な治療を受けることと病気に対する不安を取り除くことによって、思いがけない効果を期待できます。前立腺炎という病気に対して正しい知識をもってその性質を十分に理解することが、この病気を克服するために重要です。
 前立腺炎には、急激に発症する急性の前立腺炎や、ゆっくりと経過する慢性の前立腺炎、炎症の所見は少ないのに痛みなどの症状が強い前立腺痛などいくつかの病態が含まれてますが、それぞれにさまざまな症状を呈し、治療法も異なります。
 急激に高熱が出現し、頻尿や排尿時痛を伴った場合には、急性の前立腺炎が考えられます。前立腺に細菌が侵入して強い炎症が起こり、四十度近い発熱と、ときには尿が出なくなります。早期に治療を行う必要があり、症状の程度によっては入院治療が必要です。
 慢性前立腺炎は急性の前立腺炎が慢性化した状態ですが、目立った症状がなくてみつかることも多々あります。またのつけ根や下腹部の鈍痛や不快感、おしっこの出が鈍い、頻尿、残尿感、射精前後の痛みなどの多彩な症状が特徴ですが、膀胱炎や尿道炎に比べると症状は軽くて、慢性的に続きます。前立腺肥大症や前立腺がんが五十歳以上に多い病気であるのに対して、前立腺炎は青年以降のあらゆる年代層に幅広く起こります。
 また、細菌の感染はなくて、前立腺の炎症や充血だけで同じような症状を呈することもあります。この場合には、漫然と内服しているだけではなかなか治りにくく、よく治療が長引くことがあります。精神的な要因や疲労、ストレス、座りっぱなしなどの生活習慣が関係していることもありますので、泌尿器科医と相談し、病気の性質を十分に理解したうえで治療を受けることが肝心です。